猫の飼い主さんが抱える悩みのひとつに「うちの猫があまりご飯を食べない」「飼い猫が少食になった」といった、食事量の少なさがあげられます。
実際どれくらい少ないのか?適正はどの程度か?痩せていないか?こんなことが気になるところですにゃ。
少食猫ちゃんの原因や対策、適正カロリーについてまとめましたにゃー♪
食事量が減る理由と対策
本能的・気分的に食べたくない
野生の肉食動物には、毎日食事をする習慣がありません。獲物がとれたときにだけ食べるという生活をずっと続けてきたのです。
そのため、猫はもともとムラ食いの習性をもっています。
もちろんその習性が強い子もいれば、あればあるだけ食べてしまう子もいて、個体差はあります。しかしエサを与えて少ししか食べてくれなくても、それが本能的には普通なのです。
また、猫はよく食べ物を吐く傾向にありますが、その状況によっても「吐いたからおなかがすいたので食べたい」こともあれば「吐いて具合が悪いので食べたくない」といったこともあります。
人間でも「昨日は食べ過ぎたから今日は食べたくない」「食べるより寝たい」といったことは誰でも経験があるはずにゃ。
いずれにしろこういったケースは一時的であり、一食食べない程度であれば心配はいりませんので様子を見てみましょう。
丸一日たってもなにも食べないというときは、かかりつけの動物病院で診察を受けてください。
季節の変わり目、気候、温度差で食べたくない
天気が悪かったり、気温差が激しかったりすれば、体や脳がその変化に追いついていけずに、一時的に体調を崩しやすくなります。
これも人間と同様で、ある程度日にちや時間がたてば回復しますので、季節の変わり目などは特に注意してみてあげるといいでしょう。
ちなみに食事量は冬が一番多いといわれています。これは寒さに耐えられるよう体に脂肪をたくわえ、被毛も冬毛にかわるためです。そのため春にかけて「餌を食べる量が減った」と感じるのであれば、多めから通常量に戻ったことになります。
夏は暑さゆえ体力消耗が激しく、食べるよりは寝ていることが多くなり、小食になります。
おれの友達のかーちゃんは、はじめの年は食欲のなさが不安になりフードを変えることもあったといってたが、2~3年とたつことでパターンが把握できたから、それが普通と考えるようになりましたんだって!
時期的に食べないと思ったら、少し減らした量であげるといいかもだにゃ♪
体調不良で食べたくない
一時的ではなく、病気による小食の可能性があれば、食欲以外にも何かしらの傾向がみられます。よくあるケースとしては口腔トラブル(口内炎)で、歯が痛い、歯茎に腫れがある、といったものです。そのほか便秘気味でお腹が張り、食欲不振になることも。
他にも、何となく元気がない、うんちやおしっこをしていないなど、食事量が減った以外にも気になるところがあれば、早めにかかりつけの獣医師に相談を。
猫は環境変化があると食べたくなくなる
いわゆるストレスによる少食です。猫の性格によるものが大きいですが、
- 知らない人が来客してきた
- 引っ越しをした
- 模様替えをした
- 飼い主の長期不在
- ご飯のお皿が変わった
- 別の猫とけんかした
- 食事場所がいつもと違う
また、猫は特に新しいものを嫌がり、馴染んだものばかり好む傾向が強い(ネオフォビア)生き物といわれています。「人よりも家につく」とよく言われるだけあり、飼い主の旅行についていくよりも、留守番を好むのはこのためです。
引っ越しなどは一定期間が過ぎることで環境変化に慣れれば食事量も落ち着きますが、対人、対猫など慣れない人や猫といる状況が長く続くことでストレスから病気になり、最悪の場合は命にかかわるケースもあります。
飼い主さんは、おれたちの性格や年齢を考えて、できるだけストレスを減らすことを心掛けて欲しいにゃ。安心して食事ができる環境が欲しいんだ。
成長に伴い食事量が減った
生まれてから1歳ごろまでは子猫(幼猫)扱いで成長期にあたりますので、よく食べます。
成人猫 | 1歳以上から7歳位まで |
---|---|
老猫 | 10歳以上から |
成猫以降は摂取すべきカロリーは年齢が増すごとに減っていきます。また、妊娠期と授乳期の母猫は仔猫同様必要カロリーはかなり高くなります。
運動量は高齢猫あたりから大きく減ってくるため、少食になりがちです。運動量が減ったにもかかわらず、摂取フードの量は変わらないとなるとメタボ等の心配も出てくるので、ヘルシーフードに切り替えるのもいいでしょう。
ライフステージ別のキャットフードもたくさん売ってるにゃー♪
フードが変わった・フードに飽きた
食にこだわる猫ちゃんだと、フードを切り替えることでご飯を食べなくなることがあります。逆に同じものを食べ過ぎて飽きることも。
キャットフードはメーカーやブランド、種類によって栄養素やカロリー量、食感や味、ニオイが違います。いろいろなフードをあたえればバリエーション豊富に楽しめますが、ひとつのものにこだわる猫ちゃんだとこれを嫌がるのです。
これは先ほど環境変化の項目でも説明した、慣れたものを好む考え方が影響しており、猫は生後6カ月までに食の好みが決まってしまうとされています。よって、これまで食べたことがないエサを与えると、嫌がって食欲が落ちてしまうことがあるのです。
愛猫の生活環境や成長にあわせたものを選ぶのが一番いいですが、成長や体調に合わせて切り替えざるを得ないこともありますので、できるだけいろいろなフードを食べられるように慣らしておく方がいいでしょう。
飽きてしまった猫さんには、いくつかフードをローテーションするのがオススメだから試してみてにゃ♪
切り替え時は全量をすぐに変えずに、少量ずつ混ぜて切り替えたほうが慣れやすくなります。好き嫌いをして小食になれば一時的に痩せることもありますが、じきに食べる量も回復していきます。
キャットフードの鮮度・温度・形状が悪い
本来野生である猫にとって、狩りで得られた獲物はあたたかいもの。そのため冷たいごはんは嫌がる傾向にあります。
あまり食べないようなら電子レンジで数十秒程温めてみましょう。ウェットフードは特に水分量が多いので温度差が影響しやすくなります。
また、ドライフード(カリカリ)は大袋のものが多く、開封してから数日たつと鮮度が落ちて香りも弱くなってしまいます。猫は味よりもニオイで食事を選ぶ傾向にあるため、ごはんの香りが弱いと少食の原因になることも。少し温めることでニオイが強くなりますので試してみましょう。
ドライフードを長時間フードボウルに出しっぱなしにしている場合も注意が必要です。夏場は特に傷みやすく、室内でもアリなどが寄ってくる可能性もあります。
ごはんの形が猫やフードボウルと相性が悪く、食べづらいこともあるにゃー。
カリカリなら小粒or大粒、ウェットなら粗ほぐしorスープとかあるから、おれたち猫の好みとフードボウルの形状にあっているかを確認してみてにゃ!
猫のおやつを食べ過ぎて小食になった
猫の餌以外のもの、つまり間食や副食が原因で少食になることは多いです。猫のオヤツだけでなく、人間の食事を一口もらった、飼い主の見ていない間にテーブルの上にあった食べ物を食べた、などの可能性も。人間の食べ物やおやつは、猫にとっては高カロリーで太りやすい傾向にあります。
また「キャットフードは食べてくれないけれど、おやつは食べてくれるからついつい与えてしまう」ということになれば悪循環に。おやつは猫の嗜好を満たすためのものなので、好まれやすいように作られています。しかしおやつだけでは栄養不足に。
これらはたまに少量であればいいですが与えすぎは厳禁です。
猫の成長にふさわしい総合栄養食をしっかり食べてもらうためにもおやつの与えすぎには注意し、太る食べ物もほどほどにしましょう。「少食なのに太る」という状態は避けたいものです。
猫は春・秋の繁殖期で食欲にムラが出る
猫は本来、春と秋が繁殖期です。未去勢・未避妊の猫であれば繁殖行動を優先するため、食事量は増減が激しくなります。
ホルモンバランスによる食欲のムラは暑さが理由の場合よりも差が激しく、一口程度しか口をつけないこともあれば、普段の倍以上食べたがることも。
また去勢済・避妊済であっても、近くに異性の猫がいることで本能的に減ることがあります。
ただこれも、人間のホルモンバランスと同じと考えればあまり深刻ではありません。特に女性はそういった経験は多いことでしょう。
心配になってしまうこともありますが、食欲以外は問題なく元気にしているということなら、飼い主との遊び時間を増やすなどして気を紛らわし、少し様子をみてあげてください。
猫の適正な摂取カロリーは?
猫に必要なカロリーは成猫で体重×80kcalほど。さらに完全室内飼いであれば運動量がへるため1~2割ほど減ります。去勢済・避妊済の猫も繁殖行動に必要な体力消耗が減るため、同程度のカロリーとなります。
高齢(シニア)になってくるとさらに1割ほど減り、逆に仔猫や妊娠、授乳中の母猫は成猫の2~3倍程のカロリーを必要とします。
ライフステージに合わない食事量が続くことで、痩せるor太る結果に。逆に小食でも適正量内であれば、その猫にとってはベストということになります。
子猫の小食にはご注意!
子猫が少食の場合は成長著しい時期のため特に気を付けましょう。ミルクを卒業する時期は個体差がありキャットフードに移行するまでに時間がかかる場合もありますが、最初はペースト状のものを指で口の中にこすりつけるなどして徐々にならしていきましょう。仔猫の小食は病気等の問題もあるので、不安があれば早めに獣医師に相談してください。
猫が小食でも適量であればむしろ長生きする
猫のごはんは「少なすぎず多すぎず」であれば、むしろ健康で長生きするといわれています。これは人間同様に、食事のとり過ぎによる糖尿病やメタボリックス等のリスクを抑えられるためです。
どれくらい食べるかは個体差が大きいですが、普段から食の細い猫でも特に痩せているわけではなく健康的ということであれば、摂取カロリーが足りないというわけではないので、無理にキャットフード量を増やす必要はないでしょう。
それでも「食が細くて心配」ということなら、一日の内にどれくらいのごはん量を食べているかチェックして、少食になり過ぎないようにしておけば安心です。
量をあまり食べてくれないということなら、高カロリーのフードを選ぶのもオススメです。
一般的な成猫用フードでも、メーカーや商品によってカロリーが高めのものもありますので、比較してみてください。
たくさん猫がいるって?多頭飼いの場合はどうしても他の猫さんと比べがちだけど、猫さんたちそれぞれの性格や本能を見極めることが大切だにゃ!
猫の小食と加齢の問題
高齢猫や老齢猫になると食事をとるのも多くの体力を消耗するため、どうしても食がどんどんと細くなってしまいがちです。
高齢による体力の衰えは人間も猫も同じです。
たとえ老猫であっても「ガリガリの猫にならないように太らせたい」「体力をつけさせたい」と考えがちですが、年齢や体調にあわせた量が望ましいでしょう。
高齢になってくると何らかの疾患を抱えてそれから食欲が落ちてくることもあります。担当獣医師と相談しながら、食事量を調整しましょう。
歯が減ってくることでカリカリが食べにくくなった場合は、スープ状、リゾット状のウェットフードもあり、少量でもしっかり栄養がとれるものもあるため検討してみてください。
猫の少食の理由と対策まとめ
猫の食欲にはこのように、さまざまな理由があります。
- 一時的な気分や本能によるもの
- 季節の変わり目や気温
- 病気などによる体調不良
- 環境変化によるストレス
- ライフステージの変化よる食欲減退
- ご飯の変化・飽き
- 鮮度・温度・形状
- おやつの食べ過ぎ
- 春・秋の繁殖期
上記の9つ以外にもさまざまな理由があります。
もし心配な点がある場合は、獣医師へ相談することが大切です。愛猫の特性を発見してもらうためにも、早い段階で信頼おける獣医師との出会いも必要かもしれませんね。
病気の可能性が考えられる場合は、早めに獣医師への相談が大事にゃ。
それ以外は一過性のものが多いけれど、ストレス解消、フードの変更なども検討してみてくださいにゃ!