猫は身体を洗われるのは苦手ですが、お風呂場は好む傾向にあります。なかには「飼い猫がお風呂のお湯を飲んでいた」「床に残った水を舐めていた」といった場面を見たことがある飼い主さんもいるのではないでしょうか。
ここでは「なぜお風呂場の水を舐めたがるのか」その理由と対処法をまとめました。
また、お風呂場以外でもちょっと変なところで水を飲んでしまう、困った猫ちゃんの水場事情と対策をご紹介するにゃー♪
猫がお風呂場の水を好む理由
自然界では猫のエサと水は別の場所にある
猫のご飯皿・エサ皿の隣に、水を用意していませんか?
猫はもともとは野生生物です。食事は自分で狩って食べていました。
自然の中で暮らしていれば、食事と水が同じ場所に存在してるということはほとんどありません。動物の死骸が浸かった水は不衛生で、飲むと病気になる危険性もあります。
そのため、猫はエサと離れた場所にある水を好むのです。猫が風呂場に行きたがるのは「猫の本能が水場に行きたがっている」ということなのです。
猫は温かい水が好き
猫は冷たい水よりもぬるま湯を好むことが多いです。そのため人が入った後の残り湯は、猫にとっては好みの温度の水なのです。
お風呂の水はカルキが抜けている
人間でもカルキくさい水は飲みたくありませんよね?猫の嗅覚は人間数十万倍も優れています。
私たちにとっては無臭でも、猫にとっては薬くさい水であることがあるのです。
お風呂の水は、しばらく放置してカルキが抜けていることが多く、猫にとっては飲みやすいのです。
猫は大きい器に入った水が好き
猫のひげは、周囲の状態を察知するセンサーの役目を果たしています。ところが、狭い器で水を飲むとヒゲが器のふちに触れてしまい、センサーの役割を果たさなくなってしまうのです。
そのため、ヒゲの心配をしなくていいお風呂場は、猫の好みの水場となります。
猫は新鮮なお水が好き
野生の名残からか、用意されたくみ置きの水より、新鮮な水を好む猫ちゃんもいます。
チョロチョロと蛇口から出る水を見たら、思わず飛びつきたくなってしまうのだにゃ。
お風呂場は危険が一杯
家庭内で起こる事故の多くはお風呂場で起こっています。
水が飲めて温かいお風呂場は猫が好むことが多く、そのせいで水の張った浴槽に落ちる事故が頻発しています。
その経験でお風呂場が嫌がるようになるケースもあれば、何度もチャレンジする猫ちゃんもいます。
お風呂の蓋は閉めていても油断禁物!
浴槽に蓋をしていても安心はできません。猫が飛び乗った拍子に、蓋がはずれ溺れることもあります。
浴槽は空にするか、水を張るなら猫の立ち入りは禁止するようにしましょう。浴槽の水はよほど放置して汚れていない限りは、少々飲んでも問題はありません。
お風呂場だけじゃない!ちょっと変(?)な「猫の水場」
飼い猫の水場になりうる場所は、家中水のあるところすべてが対象です。
人間から見れば「変な場所」「ちょっと汚い水」「そこはあり得ない」というようなところでも、おれたち猫から見れば「自分だけのお気に入りの水場」のひとつなのだにゃ。
また、これら水場は場所だけでなく温度や状況等、いろいろな条件や好みが影響してきます。
以下にお風呂場以外で、飼い猫が飲みたがる家中の「ちょっぴり変な水場」をいくつかあげましたので、対策と合わせて参考にしてみてください。
猫は洗面所の水が好き
洗面ボールについた水や蛇口からでる水を飲みたがります。
洗面ボール周辺の汚れや水滴を拭き取っておきましょう。
猫はキッチンの蛇口が好き
シンクについている水滴や蛇口の水を舐めます。
ただしこちらの方が食品等によるシンク汚れ、キッチン洗剤の残り、蛇口についたカビ等、雑菌が多いことも。シンクや蛇口の汚れを落として清潔を心がけましょう。
猫は窓に付いた水が好き
窓の結露を舐める、窓下にたまった水滴を舐めるなど、他には例えがたい冷たい水滴が好みのようです。
結露がひどい場合は窓枠まわりのカビが気になるところ。窓用洗剤にも気を付けつつ、こまめに拭きとりをしましょう。
猫はトイレの水も飲む!?
手洗い器の水は蛇口の水と似ていますが、中には便器側の水を飲もうとする強者も。当然雑菌がたくさんで落下の恐れもあり絶対に避けたいところですので、トイレのドアとフタは必ず閉めるようにしましょう。
ドアを自分で開けられる猫ちゃんなら、細工をして開けられないように万全の対策を。
猫は植木や花瓶の水も飲む!?
葉についた水、水受け皿にたまった水など、自然界にあるようなお水が好みの猫ちゃんもいます。
ただ受け皿の水は決してきれいとはいいがたく、植物栄養剤等を使っていればなおさらです。
転倒や誤食の可能性もあるため、できれば猫が届かない位置に植物を移動するのが無難です。
猫は水槽の水も飲む!?
大きな容器や流れる水音が気に入る、そんな猫ちゃんがいるようですが、溺れや、水槽内生物への健康問題も気になります。
植物同様、猫が届かないところに水槽を移動するのがいいでしょう。
変な場所で水を飲むのをやめさせるには?
「ちょっと変な水場」での水飲みをやめさせる一番いい方法は「その場所に入れなくする」もしくは「水を撤去する」ことです。
ただ、人間から見れば変な場所でも、猫にとってはお気に入りのはず。
個体差や好みがあるので、衛生面的にあまり問題のない場所(蛇口やお風呂場、洗面所など)なら、そのまま好きにさせてあげるのもいいでしょう。場合によっては、愛らしい写真を撮影するチャンスかもしれません。
猫飼いさんの多くが、ちょっと変わった水場での水飲みを目撃しているのを見ているはずだにゃ。水を飲む様子をまじまじと見る機会はあまりないだろうから、前向きにとらえて欲しいにゃ♪
用意した水を飲んでもらうには?
どうしても水入れから飲まないという場合には、何かしらの問題があるはずです。これは好みの差が大きいため「必ずこれ!」といった方法はありません。
可能性としていくつか思い当たるものを試してみてください。うまくいけば、ちょっぴり変な水場の利用も減るかもしれません。
- 容器を大きいもの(洗面器等)に変える
- 水の温度を変える(ぬるま湯or冷たいもの)
- 水を入れ変える(こまめに新鮮なものに変える。ペット用の自動循環式給水器を使うのもあり)
- 使用する水を見直す(猫用の水は長時間置いておくことが多いため、腐らないようにするために塩素が入っている水道水が推奨される)
- 置き場所を変える(お気に入りの水場に置いてみる、安心して飲めそうな場所に変える、底上げして高さを調節する)
- ウオーターボウル(水入れ)の数を増やしてみる
猫は「水の温度」にこだわるケースが多く、蛇口からしか飲まない、蛇口の水しか飲まない、お湯しか飲まない、といったタイプの子は特にこの傾向が強くみられ、置き水はあまり好まないようです。
「蛇口を舐められるのはちょっと……」と抵抗のある飼い主さんもいるかもしれませんが、こまめに清掃するなどして対応するといいでしょう。
投薬などで飼い主が水の摂取を手伝った経験があると、その飲み方が気に入ることもあります。スキンシップを兼ねてシリンジやスポイトでたまにお水を上げてみるのもいいでしょう。
猫の飲み水、どれくらいがいい?
猫は水が欲しくなったら自分でほしい分だけ飲んでいるため、飼い主が心配しなくても、基本的には問題ありません。猫はもともと砂漠で暮らしていた生き物であり、水分摂取量は少なめ。体重1kgで25ml程が一般的です。
ちなみにウェットフードは水分量を多く含むため、食事以外での水の摂取は少なくなります。一方でドライフードは水分はほとんどないため、フードとは別に水をたっぷりと飲めるようにしておくことが推奨されています。
いくらお風呂や蛇口の水が好きでも、好きすぎて飲み過ぎるということはないので安心しましょう。
水を飲まない、もしくは飲み過ぎる場合は?
水を飲まなくなった、水を多く飲むようになった、と感じるタイミングとしては、病気や体調不良以外にも、ドライからウェットのへの切り替え、またはその逆、季節の変わり目、フードの種類の変更等によっても起こります。
もし最近愛猫が「水を多く飲むようになった」「水を飲む量が減った」と感じたら、普段と変わった様子はないか、ウンチやおしっこの状態はどうかを気にしつつ、フードの変更がなかったかなども考慮し様子を見てみましょう。
体調面で不安があれば、すぐにかかりつけの動物病院へ相談しましょう。
お気に入りの水場を利用して水を与えよう
猫の中には水を飲みたがらない子がいます。そのため、飼い主の中には四苦八苦してなんとか水を飲ませようと日々頭を悩ませている人も少なくありません。
そんなときは、猫の風呂場好きの習性を、逆に利用してみてはいかがでしょうか?
お風呂の水を飲ませることに抵抗があるのなら、一度沸騰させて適温まで冷ましたお湯を浴室に置いてみましょう。
おふろ場以外の場所が好きな猫ちゃんも同様の方法でためしてみてください。
お試しになるときは、好みの温度や状況をできるだけ「好きな水場」に合わせて用意してあげましょう。
猫がお風呂の水を飲む理由と対策まとめ
猫ちゃんの水を飲む理由には、さまざまな裏付けがあることが分かりますよね。
- お風呂場は猫が本能的に「水場」と認識する条件がそろっている。
- ふろ場以外にも、洗面所、植木、窓、トイレなどが対象になることも。
- 危険性、衛生面等でこれら場所で水を飲ませたくない場合は、戸締りをする、水分を拭き取るなど対策を。特に問題のない場所ならできるだけお気に入りの水場として見守ってあげる。
- 水をあまり飲みたがらない猫ちゃんには、これら好みの水場を最大限利用すること。
人間でも子供のころは、雨の日に口を上に向けて雨水を飲んでみたり、お風呂の水を飲んでみたりした経験が誰でもあるはずです。
大人になり衛生面的に「飲んではいけない」と理解したものの、やはり猫社会と人間社会とでは別。そして猫にそれを教えるのもやはり無理があるものです。
できるだけ飼い主が寛大な心を持ち、愛猫の好みの水場と上手に付き合ってみてあげてくださいにゃ♪