避妊手術をすることが主流となってきましたが、うちの猫の赤ちゃんが欲しいと思う人もいるでしょう。また、手術前にうっかり脱走され、捕まえることはできたけれど妊娠していたなんてケースもあります。
安心して産める場所を提供し、元気な子猫を産んでもらいましょう。
猫の妊娠
猫の妊娠期間は短く、だいたい2ヶ月ほどで出産します。
個体差はありますが、一度の出産で5~8匹ほどの子を産みます。何匹生まれてきても、すべての子猫をきちんと幸せにしてあげられるか考えてください。
すべての面倒を見られないなら、生まれる前から里親を何人か捜しておくといいでしょう。何匹生まれてくるかは、病院でレントゲンを取ればわかります。
里親候補は信用できる人を選ぶようにしましょう。
自宅で生まれた子猫を育てる場合は、エサ代、トイレ代、設備代、病院代など、すべての費用をきちんと負担できるか考える必要があります。
健康なときはあまりお金がかかりませんが、猫は保険が利かないため、怪我や病気をしたときに治療費が高額となります。
それら不測の事態がおこったとしても、十分に手をつくすことができると確信できる頭数だけ育てるようにしましょう。
その他にも毎年のワクチン代や、健康診断の費用なども必要となります。
猫に子供を産ませたいのなら、それだけの頭数の面倒を見るか、引き取り手を見つけなくてはいけません。
妊娠中の様子
猫は妊娠してもしばらくはあまり変化がないため、気がついたらお腹が大きかったということも少なくありません。
妊娠がわかったらストレスを与えないよう注意しましょう。
妊娠30日 | つわりで食欲が落ち元気がなくなる。乳房が膨らんでくる。 |
---|---|
妊娠45日 | 食欲が戻り、逆によく食べるようになる。お腹が膨らんでいるのが見てわかるようになり、あまり自分で動かなくなってくる。神経質になって、人を警戒するようになる。 |
妊娠60日 | 出産の3日前くらいから母乳が出るようになる。 |
出産の準備
まずは安心して産める場所を用意してあげましょう。身の知らぬ場所より、慣れた場所のほうが安心できます。
早めに産箱を用意し、人気の少ない、静かで薄暗い場所に設置してください。
産箱は深めのダンボール箱がおすすめです。母猫と数匹の子猫が入っても窮屈ではないくらいの大きさのものにしてください。
底にペットシーツやタオルを敷くといいです。用意したら「こんな場所があるよ」と猫に紹介して、事前に慣れてもらっておきましょう。
もしものために、消毒用アルコール、お湯、洗面器、木綿糸、消毒済みのハサミ、清潔なタオルを用意しておきましょう。
また、妊娠がわかったら動物病院へつれていき、獣医さんのアドバイスをもらっておくといいでしょう。
レントゲンを撮れば、お腹の子の数や、逆子かどうかなどを知ることもできます。
出産の兆候
落ち着きがなくなり、ソワソワして周囲を警戒し始め、産箱に出たり入ったりをくり返します。
以前は、母猫が子猫を守ろうとしてストレスになるから、出産には人が関わってはいけないとされてきました。しかし、最近では人と猫の付き合いがより密接になり、その常識も変わってきています。
どうやら「一人で産みたいから人は関わらないで!」というタイプと、「怖いから飼い主についていて欲しい」というタイプがいるようです。
基本的にはあまり手出しせず、擦り寄ってきたりして助けてほしそうなときは側にいてあげてください。
出産の手伝い
猫の出産はとても早く、陣痛から1~2時間で出産を終えます。
子猫は羊膜に包まれている状態で生まれてきて、母猫はその膜を舐めて身体をキレイにしてあげ、へその緒を噛みちぎります。最後に胎盤が出てきて、それを母猫が食べると出産は終了です。
しかし、出産に慣れていない猫などの場合、母猫がきちんと子猫の処理をできないことがあります。
そういった場合は、人間がタオルで拭いて羊膜をはがしてあげたり、へその緒を切ってあげましょう。
へその緒は木綿糸で縛り、母親側のほうを消毒したハサミで切ってください。
また陣痛から1時間以上経っても生まれない場合は、難産である可能性があります。獣医に連絡し、適切な対処をしてください。
猫はほとんど自分だけで出産を行います。産箱もダンボールでOKです。しかし、初産だったり、人懐っこい猫の場合、人に手助けを求める子もいます。
また、母猫が子猫の羊膜やへその緒をうまく切れない場合は、飼い主がやってあげなくてはいけないことがあります。
難産だった場合などには、病院に駆け込まなくてはならないこともあります。
それらの事態が起こっても、きちんと自分は対処できるのか考えてみましょう。
育児放棄する場合も…
せっかく無事出産を終えても、母猫の中には何かが原因で育児放棄をしてしまう子がいます。その場合は、あなたがかわりに子猫の育児をしなくてはいけません。
月齢にもよりますが、2~3時間おきにペット用の哺乳瓶でミルクを与え、お尻を刺激して排泄させ、出たものの処理をする。体温が下がり過ぎないように室温や寝床を整えるなど、やらなくてはならないことはたくさんあります。
初期の段階で育児放棄されてしまえば、飼い主は夜もろくに眠れなくなります。
母親に代わり、きちんと育児を行えるのか考えてみましょう。
飼い主が責任を持つことが大切
このように、猫を出産させるのなら、大きな責任を背負う覚悟がなくてはいけません。
子猫はとても愛らしく、望む気持ちもわかります。しかし、なんとかなるさと安易に考えていると、不幸な猫を増やす結果となるので、繁殖を希望するなら、きちんとその前に覚悟を持つようにしてください。
また、猫は出産してから2ヶ月経てばもう次の出産が可能で、年に3回まで妊娠できます。
妊娠期間は2ヶ月。放っておくと近親とも交配してしまうため、満足したらすぐに避妊手術をしたほうがいいでしょう。
避妊手術を行えば発情期のストレスから開放され、子宮がんや乳がんの予防にもなります。