猫のお手入れで苦戦するものといえば爪切り。人間と違い、猫の爪の中には神経と血管が通っています。
一度間違って神経を傷つけてしまうと、痛いものだと猫の頭にインプットされて、ますます爪切りを嫌がるようになるでしょう。
そんな事態にならないためにも、正しい爪きりの仕方を確認しましょう。
猫に爪切りが必要なわけ
野良猫も、猫科の野生動物も、爪を切らずとも普通に生活をしています。
それは外の世界で生きる動物にとっては爪はとても重要な武器でありツールであるため、簡単に短くするわけにはいかないからです。
また、外で生活していると、地面で擦れたりして削り取られ、爪を適切な長さを保つことができます。
ところが家の中で生活している猫は爪が削れる機会が少ないため、どうしても伸びすぎてしまいます。
そのせいで肉球に爪が食い込んでしまい傷ついたり、布に引っ掛けて爪が割れる事故が起こったりすることがあります。
伸びていたせいで爪が上手くしまえなくなり、人間や仲間の猫に怪我を負わせてしまうケースもあります。
これらを防止するには、爪を切ることが有効です。家具やフローリングを傷つけるのを防ぐ効果もあるため、ぜひ爪切りは行うようにしましょう。
猫の爪はタマネギの皮のような構造
爪とぎの側などで猫の爪が落ちているのを発見したことはありますか?猫の爪は太さがあり頑丈なのに、落ちている爪はペラペラで驚いたという経験がある人もいるでしょう。
それもそのはず、猫の爪はタマネギのように何層も重なってできていて、爪を研ぐことで一番上の古い層が剥がれる仕組みになっているのです。
日に透かしてみると、爪の中心が赤く色づいているのが見えるはずです。この赤い部分には血管と神経が通っています。
誤ってこの場所をカットしてしまうと非常に痛み、血が出るので、この部分まではカットしないよう気をつけてください。
切るのは爪が細くなっている先端の部分です。
爪切りの仕方
人間用の爪切りでもできますが、コツが入り慣れないとあつかいにくいため、初心者は猫用の爪きりでチャレンジするようにしましょう。
猫用の爪切りはペットショップなどで簡単に手に入れることができます。
- まずは猫を抱っこして落ち着かせます。切りたいほうの足を、ハサミと逆の手で持ち、指で爪と肉球の間を押して爪を出します。
- 爪をよく見て、血管や神経を傷つけないように切る場所を決めてください。先端から2~3mmが目安です。
- 暴れないように固定して素早く爪を切ります。ためらうと中途半端に爪の上の層だけ切れてしまうことがあるので注意してください。
爪切りが嫌いな猫には
爪は猫にとって大切な武器であり、生活になくてはならないものです。よって爪切りを好む猫はほとんどいません。
激しく抵抗されて爪切りを行えない場合は、時間をかけて訓練してみましょう。
まずは慣れさせるため、普段から爪切りに触れさせるようにします。警戒心がゆるんだら、爪切りを猫の足の先に当ててください。
また、抱っこしたり撫でるときに、猫の手を握る訓練もします。どちらも嫌がらなくなったら、再び爪切りにチャレンジしてみましょう。
何度やっても爪切りに慣れない場合は、猫をタオルでくるんで動けなくしてから切るという方法もあります。また、獣医さんに頼むと高くても千円程度でやってくれますよ。
猫が気に入る爪とぎを用意しよう
いくら爪切りをしていても、猫といえば爪をとぐ生き物です。そのせいか猫を飼っている人の中には、爪とぎをあちこちでされ、家具や壁がボロボロだという悩みを持つ人も少なくありません。
爪とぎの役割
猫にとって爪は狩りや高い場所へ登るときにに必要不可欠なもの。猫の爪は何層にもわかれた構造をしています。
猫は爪をとぐことで表層の古い爪をはぎ、常に新しく鋭い状態を保っているのです。
また猫の爪とぎには、爪の周辺にある臭腺から出るフェロモンをつけ、縄張りを主張するという役割もあります。
このようなマーキング行為のための爪とぎのときは、自分の優位を示すために猫はなるべく高い位置で爪を研ぎたがるようです。
爪を研ぐことは運動やストレッチにもなり、ストレスの解消にも役立ちます。
猫が気に入る爪とぎのポイント
最近は、部屋においでも違和感がないデザイン性に優れた爪とぎも見かけるようになりましたが、猫が気に入ってくれなければ意味がありません。
オシャレな部屋になったとしても、猫があちこちで爪をとぐようになれば、部屋はボロボロになってしまいます。
まずは猫はどのような爪とぎを好むのか理解して選びましょう。
1.高さがある
テリトリーを示すための爪とぎは、高い場所で行われやすいです。猫が背伸びしても十分爪がとげる、高さのあるものを用意しましょう。
マーキング用の爪とぎは、部屋の中でも目立つ場所に設置してください。
2.安定している
不安定な爪とぎでは思う存分爪がとげません。猫が強い力をこめても安定しているような爪とぎを選びましょう。
3.数が十分にある
爪とぎは最低でも一匹につき1個以上必要です。けれど、部屋がいくつもある場合はなるべくたくさんの爪とぎを用意しておいたほうが、他所への爪とぎを防ぐことができます。
多頭飼いしている家庭でも、必ず一匹につき1個以上爪とぎを用意しましょう。爪とぎの共有はできない場合があります。
4.爪をとぎやすい素材である
爪とぎは、ダンボール、カーペット、縄、コルクなど様々な素材のものがあります。
猫によって好みがあるため、気に入らないようなら別の素材の爪とぎを試してみましょう。
他の場所で爪とぎをされないようにするには
猫に一度決めたことを止めさせるのはとても難しいです。よって、まずは飼いはじめにしっかり爪とぎの場所を教えましょう。
爪とぎまで誘導して、手を取って爪をとぐ仕草をさせるといいでしょう。壁や家具で爪をといだら、その場でしかるか大きな音をたてて止めさせます。
それでも止めない場合は、家具や壁を保護シートなどで多い、爪をとげなくしてしまいましょう。
また、中には獣医に相談して抜爪手術をするという方法もあります。ただし、猫の爪には血管も神経も通っていて、登ったり止まったりするときに必要となる器官です。
マーキングもできなくなることから、抜爪手術は猫に多大なストレスがかかるという意見もあります。