猫を飼っている人から話を聞くと、エサの悩みをよく耳にします。
猫は気まぐれで、好みも様々です。健康的な食事をしてもらうためには、飼い主はどんなことに気をつければ良いのでしょうか。
同じエサばかり食べたがる猫のほうが多い
人間ならば毎日同じメニューでは飽きてしまいますよね。猫もそうだろうと考え、毎回与えるエサをコロコロ飼える飼い主がいます。
ところが、これは余計なお世話であることが多いのです。
というもの、猫は新しいものに対して恐怖心を持つネオフォビアという性質を持っているからです。
できるだけ馴染んだ同じものだけを経験して生きていきたいという欲求があります。そのため、猫の中には頻繁にエサを変えるだけでストレスを感じてしまう猫も珍しくないのです。
エサを切り替える場合は、これまでのエサに新しいエサを少しずつ混ぜて慣らしていくなど、猫の負担を減らす対策を行うといいでしょう。
新しいエサに抵抗がない猫だった場合も、あまり要求を聞いてばかりいると、わがままが酷くなって普通のエサを食べてくれなくなるので注意してください。
エサ場と水場は離したほうが理想的
犬や猫を飼っていると、エサと水はセットで一緒に置かれていることが多いです。
エサを食べながら水を飲めるんだからいいじゃないかと思う人もいるでしょう。けれど、じつは猫にとってはこれは不自然な状態です。
自然界にいる猫は狩りをしてネズミや鳥などの小動物をエサとしています。水に濡れることが大嫌いなので、自分で魚を取るなんてことはありません。
元々エサと水が一緒に手に入るなんてことはありえない状況なのです。
普通の猫は、エサと水が隣に存在することに慣れてしまいます。
ところが神経質でエサや水を摂りたがらない子の場合は、エサと水の距離の近さがネックになっていることがあるので、離して設置してあげましょう。
また、猫はとてもきれい好きなので、口に入るものがある場所とトイレが近いと嫌がる子はとても多いです。エサ場や水場はトイレからなるべく離して設置しましょう。
もし、猫があまり水を飲みたがらなくて水分が足りていないのではと心配なら、こちらのページを参考に水場を用意してあげましょう。
エサ皿は浅めが好まれる
なんでもいいだろうと思われがちなエサ皿ですが、じつは猫の食欲に大きく関係していることがあります。
神経質な猫や警戒心が強い猫の場合は、浅いエサ皿じゃないと嫌という子もいるようです。
というもの、深めの器だと、エサを食べるときにヒゲが触れてしまいます。
猫にとってヒゲはとても重要な器官でセンサーのようなものです。
エサを食べるためとはいえ、何かに触れてしまうのは不快だと思うようです。
また、皿が深いと顔を器の底まで入れるので、周囲の様子を観察することができません。
警戒心が強い猫の場合、それが怖いと感じ食欲が落ちたり、手でエサをすくって外に出してから食べるなどするようになります。
エサ皿は大きめの浅いものを選ぶようにしましょう。
猫まんまは猫を早死にさせる
かつては猫のエサといえば猫まんまでした。お年寄りの中には、いまでも猫には猫まんまをあげたらいいんじゃないと思っている人もいるくらいです。
けれど、ちょっと待ってください。本当はそれ、とても危険な行為なのです。
こう聞くとギョッとする人もいるかもしれませんが、これは紛れもない事実です。
猫まんまとは、ご飯の上に鰹節や煮干しをかけたもののこと。
中には、ご飯に味噌汁をかけたものをそう呼んでいる人もいます。
キャットフードがまだそれほど一般的ではなかった昔は、エサ代を浮かせるためにも、犬や猫に残飯を与えていました。しかし、猫は元々炭水化物を食べる動物ではありません。
エネルギーもたんぱく質から得ます。そのため、上手く消化することができず、猫まんまだけでは完全に栄養不足になってしまいます。
また、鰹節や煮干しにはミネラルが多く含まれているため、猫が食べると尿石症や腎臓病の引き金になります。
味噌汁は塩分が濃く、猫の身体に有害な野菜が入っていることも珍しくありません。
猫にとって危険な食べ物をこちらのページであげていますので参考にしてください。
このように、以前は当たり前にあげていた猫まんまですが、じつは猫にとってはとても有害な食事だったのです。
キャットフードの発展で寿命が延びた
現在の日本は、子供の数よりもペットの数のほうが多いほどのペット大国です。そのため、キャットフード業界も大きく飛躍しました。
猫の体のことを最大限に考えて作られたプレミアムキャットフードや、適切な栄養がつまっている総合栄養食など、猫の身体に適したフードが開発され、簡単に手に入るようになりました。
1980年の調査では猫の平均寿命は3歳ほどでしたが、いまでは15歳程度にまで引き上げられています。
これにはキャットフードの質の向上が大きく関係していることは間違いありません。
猫まんまも進化している
かつての猫まんまは絶対に与えてはいけませんが、いまでは安全な食材を使って自分で猫まんまを作り、猫に与えている人も珍しくなくなってきました。
各社から猫用の手作りご飯のレシピ本が出版され、検索すると自作レシピを載せている人も少なくありません。興味がある人は、まずはそういったものを見て、チャレンジしてみるといいでしょう。
何が入っているのか把握できるため安心して猫に与えることができ、慣れると体質や体調に合わせたエサを与えることができます。
毎日作ってあげるのは面倒という人は、たまのご褒美にあげるものいいでしょう。
いかがでしたか。このように、じつは猫まんまは猫にとっては身体に良くないものだったのです。それを知らない高齢の方などがあげようとしていたら、必ず止めてください。
今では優れた品質のキャットフードが簡単に手に入ります。猫の身体にあったエサを与え、ぜひ長生きさせましょう。