トイレもご飯もすぐに覚えることからペットとして飼いやすい猫ですが、「夜寝る前になると鳴気出したり、暴れ出して猫が寝ない」「猫が日中も夜も寝ない」ことで心配になられている飼い主の方も多いのではないでしょうか。
猫が寝ない原因は病気を患っていない限り、飼い主さんとの猫の付き合い方が関係している可能性があります。
そこで本記事では、猫が寝ない原因や猫の年齢に合わせた寝ない時の対処法、病院に行くべきケースについてを解説します。
猫が寝ない原因は飼い主にもある
猫が寝ないのは病気を患っている可能性もありますが、飼い主さんの猫との付き合い方が原因の可能性もあります。
例えば、猫が寝ないから猫じゃらしやおもちゃで遊んで「疲れさせて睡眠を促す」ことや「猫がフードを入れる皿の前にいるから餌をあげる」などの行為はNGです。
なぜなら、猫が寝ないで走り回ったり、鳴いたりすれば「飼い主さんに遊んでもらえる」「餌をもらえる」と勘違いするからです。
猫はとても記憶力が優れた動物なので、一度覚えてしまえば飼い主さんの気を引くために、夜に寝ないで走り回ったり、鳴いたりするようになります。
このような行為を続けると猫の行動は次第にエスカレートし、睡眠の妨げになるようなレベルの鳴き声や遊びを覚えてしまいますので、注意してください。
猫が夜に寝ない4つの理由
猫が夜に寝ないのは猫の習性や病気、住環境などさまざまな理由があります。
その中でも猫が夜に寝ない理由は以下の4つがあげられます。
- 猫の習性のよるもの
- ストレスや不安を感じている
- 発情期の影響
- 病気になっている
それぞれの理由や症状について詳しく解説します。
1.猫の習性のよるもの
猫が夜に寝ない理由は「猫の習性」が関係しているかもしれません。
猫は「薄明薄暮性」といって、明方と日没直後に行動し始める動物です。猫は日中に睡眠をとり、日没直後に活発に行動をし始めるため、飼い主さんとの生活リズムと合わないことがあります。
また、猫は睡眠をこまめに分けてとる動物でもあり、浅い眠りを何度も繰り返します。そのため、猫を飼われて間もない方は「数分ねてすぐに活発に動き始めるからちゃんと睡眠をとっているのか心配」と思われるかもしれませんが、これらは猫の習性によるものです。
愛猫をよく観察してみて、日中に睡眠をとっていたり、短い睡眠をこまめにとっている場合は正常な睡眠サイクルであるため、病院に行く必要などはありません。
2.ストレスや不安を感じている
猫が寝ない理由の一つとして、ストレスや不安が原因の可能性もあります。
猫はストレスに弱い生き物で、「特に住環境が変わった」「飼い主以外の人が家にきた」という場合に強いストレスや不安を感じ、寝られなくなってしまうのです。
猫を取り巻く環境が変化していないかをチェックしてみましょう。
- 猫を家に迎えて間もない状態
- 猫を取り巻く周辺環境にストレスや不安を感じるものはないか
- 猫が安心する睡眠環境が整えられているか
- 過度に猫を構いすぎていないか
- 生活音や周辺音は適切な音量か
猫は子供の頃に強くストレスを感じたものが周辺にあると、ストレスや不安を感じて警戒し続けることになります。猫が寝ない問題を解消するためには、ストレスや不安を取り除いてあげることが大切です。
3.発情期の影響
猫の発情期中は大きな声で鳴いたり、行動が活発になるなど、生活リズムに猫の動きに変化がみられます。
発情期の特徴としては、普段以上に甘えてきたり、愛猫の名前を呼ぶと大きな声で返事をするようになります。
発情期は猫の本能的なもので、しつけで改善することはできず、発情期が治るまで待つしかありません。
発情期中は猫も心身ともにストレスを感じているため、子孫を残す予定がない場合は避妊・去勢手術をおすすめします。
4.病気になっている
猫が寝ない理由として最も気をつけてほしいのが病気の可能性です。
猫がこまめに睡眠や日中に睡眠を取っている場合は問題ありませんが、全く睡眠を取れていない場合は注意が必要です。
猫が寝ない時に患っている可能性がある病気は以下の通りです。
- 寄生虫感染
- 胃腸炎
- 猫風邪
- 膀胱炎
- 認知症
- 甲状腺機能亢進症
病気を抱えている猫は痛みや息苦しさ、病気により活発に動いてしまうなど、病気により睡眠を妨げられている可能性があります。
この場合はご自身で判断せずにすぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
猫の年齢ごとに寝ない場合の原因と対処法を解説
猫が寝ない原因は猫の年齢ごとに異なります。ここでは以下の猫を年齢ごとに分け、考えられる原因や対処法について解説します。
1.子猫が寝ない原因と対処法
子猫が寝ない時は単純に「遊んでほしい」「お腹が空いている」という可能性がありますが、食欲も元気もない場合は以下の原因が考えられます。
- 猫風邪
- 胃腸炎
- 寄生虫の感染
猫も人同様に風邪をひくことがあります。くしゃみや鼻水、発熱や鼻づまりといった息苦しさから眠れていない可能性があります。
子猫が寝ない原因として気をつけたいのが胃腸炎や寄生虫の感染です。餌を入れる皿に付着した細菌やウイルス感染による胃腸炎は、お腹の痛みや吐き気などにより寝れなくなってしまいます。
また、回虫やコクシジウムといった寄生虫が感染すると寄生虫がお腹の中で活動する体調不良を引き起こします。
ノミや耳ダニ寄生することもあり、寄生虫に感染してしまうと吐き気やかゆみを引き起こし、あまり寝られなくなります。
子猫の体調不良を感じたらすぐさまかかりつけの動物病院に相談しましょう。
2.成猫が寝ない原因と対処法
成猫も子猫同様に猫風邪や寄生虫、胃腸炎といった病気のリスクがありますが、成猫が寝ない主な原因は以下が考えられます。
- 発情期
- 膀胱炎
メス猫は成熟期を迎える生後6ヶ月〜12ヶ月で発情期が来ると言われていますが、メスの成猫が寝ないで大きな声で鳴いていたり、暴れ回るほど活発に動いていて寝ない場合は発情期が考えられます。
そのほかにも、ストレスやトイレの掃除不足による細菌感染が原因で膀胱炎を発症するケースもあります。膀胱炎を発症すると1時間に頻出してトイレに行くなどの行動がみられます。
膀胱炎を発症した猫は起床後すぐに排尿のポーズを取ったり、尿が出ないにもかかわらずトイレに複数回行くなど、睡眠を取れなくなる可能性があります。
これらの対処法ですが、発情はしつけで抑えることはできないため、病院で去勢・避妊するしかありません。また、膀胱炎に関しても抗生物質を投与したり、症状の程度によっては消炎鎮痛剤などが必要になります。どちらの対処法も動物病院に相談する必要があります。
3.老猫が寝ない原因と対処法
老猫も子猫・成猫同様に感染症や寄生虫による体調不良がみられますが、7歳以上をすぎた老猫が寝ない場合は、以下の原因が考えられます。
- 甲状腺機能亢進症
- 腎不全の疾患
- 認知症
老猫が寝ない原因としても特に考えられる症状が甲状腺機能亢進症です。これは甲状腺ホルモンの過剰分泌が引き起こす病気で、食欲が異常増加しているにもかかわらず体重が減少したり、元気がなくなったり、体温が低下したりなど身体のあらゆる部分に不調が出ます。
猫の高齢化による病気はこれだけではなく、認知症や腎不全・肝不全・心疾患などにかかる可能性が高くなり、これらの病気を発症すると体調不良により十分な睡眠を取ることができなくなります。
これらの病気は、飼い主さんが判断することは難しいため、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。
猫が寝ない時に病院へ行くべきケースを様子を見るべきケース
猫が寝ない時に動物病院へ受診すべきケースと様子を見るべきケースについて解説します。
まず、以下の症状がみられる場合は、早急に動物病院へ相談し、受診してもらいましょう。
- 餌を全く食べない
- 嘔吐や下痢を繰り返す
- 徘徊する
- 今まで聞いたことのない大きな声で鳴く
- 食欲がいつも以上にあり、かつ活発に動いている
- 身体を必要以上に舐めすぎて脱毛している
- 普段よりも攻撃的になっている
これらの症状が一つでもみられる場合は何かの病気にかかっている可能性があるため、動物病院での受診をおすすめします。
一方で以下の症状は病気の心配がない場合が多いです。
- 来客や騒音のストレスによる睡眠不足
- 猫を飼って間もない場合
来客や騒音によるストレスや新しいお家の家族になって間もない猫は安心するまでは寝つきが悪くなることがあります。
この場合はストレスさえ取り除くことができれば、自然とお気に入りの場所で睡眠を取るはずです。
猫が病気以外が原因で寝ない時の対処法
猫が病気以外が要因で寝ない時は「睡眠環境を整える」ことが効果的です。睡眠環境が整っているにもかかわらず、夜飼い主さんが寝る前に暴れ出す場合は日中にたくさん遊んであげることで解決する可能性があります。
1.ストレスや不安が原因の場合は睡眠環境を整える
猫が寝ない原因が病気によるものではなく、来客や騒音による一過性のストレスや不安が原因の場合は、睡眠環境を整えることで解決する場合があります。
猫にとってベストな睡眠環境はお気に入りの寝床が複数ある状態です。猫は狭いところが好きな動物なので、ベッドの下やテレビ台の隙間などを好む傾向にありますが、ふかふかのベッドやひんやりしたベッドも大好きです。
猫が落ち着けるような寝床を用意してあげることで猫が寝ない問題が解決する場合があります。
また、猫は自身の身体を舐めて身体の衛生面を守る綺麗好きの動物ですから、猫用のベッドは定期的に選択することも大切ですので、洗える猫用ベッドや毛布がおすすめです。
2.猫が夜に暴れる時は日中にたくさん遊んであげる
猫が夜に暴れて寝ない時は日中たくさん遊んであげることがおすすめです。
猫の習性上、日没後に活発に動き出すために夜に寝ないことが多くの飼い主さんが抱える問題です。
猫は日中に活動していれば夜にしっかり寝てくれます。
しかし、「日中は仕事で猫とあそぶことができない」という方もおられるはずです。その場合は、飼い主さんが寝る時間の数時間前に遊んであげましょう。
猫に夜寝てほしい時は、日中たくさん遊んであげる、もしくは寝る数時間前に遊んであげることで夜寝てくれるはずです。
まとめ
この記事では、猫が夜に寝ない時の対処法について解説しました。猫は薄明薄暮性の動物で日中に寝て日没とともに活動する動物なのでどうしても夜に寝ないことが多いです。
ですが、日中遊んであげたり寝る数時間前に愛猫としっかり遊んであげることで疲れて寝てくれるかもしれません。
注意しなければならないのが、猫の習性ではなく病気を患っている可能性があるということです。
猫は病気を患っていると息苦しさや痛みにより、寝られないことがあります。病気の心配がある場合はすぐにかかりつけの動物病院で相談しましょう。